『最高の休息法』…「いまここ」の認識と脳疲労
[ PR ]
最近福岡に引っ越してきて、まだ仕事に慣れていないせいかどうも疲れやすい。
毎日だるさを感じて横になっていたりすることが増え、寝付きも悪いので、近所の「Books Kubrick」という読書カフェで『最近の休息法』(久賀谷亮 著)という本を読んでみた。
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 1,074
目からウロコ、"脳疲労"の解消法
自分はずっと「マインドフルネス」に興味があって、実践したいと思いつつもいつも忘れていた。たまに本屋でマインドフルネスの本を手にとっても、瞑想すればいいんだと思うくらいでそれ以上の理解はこれといってなかった。
この本によると、マインドフルネスとは次のように定義されている。
評価や判断を加えずに、いまここの経験に対して能動的に注意を向けること
この本で特に強調されているのが、「過去でも未来でもなく今現在を認識すること」だ。というのも、人間が疲れたと感じるのは実際の疲労よりも脳が感じる疲労感であり、その疲労感は未来や過去を考えて、いまここにいない状態が続くことによって疲労感が起こるという。
確かにこれについてはかなり実感するところがある。たとえば、将来起こるかもしれないトラブルについて不安になったり、過去に起こしてしまった失敗に対してクヨクヨ悩んだり、ストレスを感じているときというのは大抵そういうときだ。
"いまここ"を再実感することで疲労感が軽減される
この本では、疲労感を感じたときは「いまここ」を改めて認識することによって、未来や過去に飛んでしまっている思考を現在に引き戻すことが大切だと書いている。
その方法として、ボディスキャンや呼吸法などが書かれているが、いずれも今ここにある現在に意識を向ける行動である。
ボディスキャンは、自分の身体が今どういう状況にあるのか、足先の状態や緊張感など、細かな身体の感覚に意識を向けることによってリラックスすることができる方法とされている。
確かに、自分はいつも疲れているときは何かを考えていて、今の自分に対しての注意が散漫になっていることが多い。たとえば自分が今日何を食べたのか、どういうテレビがあっていたのか、どんな音楽を聴いたのか、そういう情報が大きく欠落するような気がする。
つまり、ボディスキャンや呼吸法など、具体的な方法云々よりも、大切なのはいまここに意識を引き戻すということのようだ。
そういう意味で、自分はサウンド・スケープという周りの音に意識を集中させるリラックス法が好きなのだが、それはこういうことだったのか。
疑問: 現実逃避はストレス解消ではないのか?
ここで自分が一つ疑問に思ったのが、現在ここにいる自分をしっかりと認識させることがリラックスにつながるのであれば、映画を観たり小説を読んだりする現実逃避はどうなのだろう。
自分はまだこの本をそこまで詳細に読み込んでいないので誤解があるのかもしれないが、今までの話では現実逃避はリラックスする行為とは真逆にあるような気さえしてくる。
これに対する自分の一つの見解としては、多分現実逃避で逃避しているのは実際は現実ではなく、これから想像される不安や焦燥などから逃避しているのではないかと思う。だから、こういう自分が想像してしまいそうな不安が生まれる前に、別のことにフォーカスすることによって考えないようにしているのではないだろうか。
でもいずれにしても、現実に向き合わないと実際の問題は何も解決しないのは確かだし、現実逃避はその場しのぎの解決法という点で、この本の提唱する「最高の休息法」ではないのかもしれない。